第22回日本ホスピス在宅ケア研究会in神戸
実行委員長 黒田裕子
年次大会の時期となってまいりました。昨年は、長崎大会にて全国の皆様が一堂に集まり様々な立場で議論を交わすことが出来ました。
今年は、本部がある神戸にて開催することになりました。第一回目の大会は、神戸で開催し100名の参加で徹底討論から始まり22年が経つとは考え深いものがあります。
あの頃は、「死」を言語化・文字化することで反発を受けた時代でした。今では、全国で「死」について自分の問題として考察され、まちづくりの一つとしても考えられるようにまで変化してきました。当団体は、当時、全国に死の問題を深め、また広めようと言うことで全国の年次大会で展開しました。第1回目が群馬県でした。この時は、「告知」の問題についても徹底的に討論しました。「告知」に対する議論が交わされた時であったのですが、今では、「告知」は常識となっています。状況の変化とともに死についての考え方が随分と変わってまいりました。当時の議論についても、昨日の如く脳裏にその議論がしっかり残っています。
社会情勢と共に死の問題も変革を帯びてきました。が、当団体は「在宅について」は継続的に理念をもって、ぶれることなく一貫したテーマで取り組んでいます。
「がん」だけの最期ではなく、非がんの最期も問われるようになって来た現状の中で、今回の大会においては、大会会長 田村 亮氏を柱に実行委員会で考えたテーマが、これからの問題として、考えておかなければいけない在宅ケアに相応しい「あなたは考えていますか?2020年終の棲家を」となりました。この問題について、国全体がこれからの自分の問題として、自分と向き合い「死」についてしっかり考え、死に方だけでなく、居住のあり方までも前向きに考察する時を迎えています。この大会をきっかけに更に一人ひとりがしっかり向き合っていただきたいものです。
いわゆる死の準備期間として、よりよい死に方をするために、「今」を考えていかなければいけない時代です。独居老人も多くなっています。その上に地域そのものが、希薄になっている現状の中でどのように一人ひとりが、今を生ききればよいかを考えるきっかけになることを願っています。
是非、皆様方とご一緒にこれからの2025年に向けてよりも先に2020年として考える機会として、様々な角度からまた、それぞれの役割の中で議論ができればと考えています。大会のプログラムとしては、メインテーマにふさわしい豊かな内容であると共に、講師の皆様方においてもこの問題を常に考え、患者様の傍らに寄り添いながら、今の時代と共に歩んでいらっしゃる方々をお招きしています。厚労省の方にもお越しいただき高齢社会について「現状と今後の課題」についてお話し頂く予定にしています。
全国の皆様が1人でも多くこの問題に関心を持っていただき、専門職・非専門職を問わず共に学び啓発し合うことが出来る場となることを願っています。神戸でお会いできますことをお待ちしています。